
東海道新幹線ミステリ 第10巻
速報より早い殺人
ソクホウヨリハヤイサツジン
ニュースよりも早く、死は投稿された。
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SYNOPSIS
あらすじ
東海道新幹線11号車グリーン車で宮永晃が殺害される。だが犯行を知らせる匿名投稿は、遺体発見の七分前に公開されていた。
白い椿、赤い帽子の男、犯人しか知り得ない情報。列車内の殺人とネット上の投稿という二つの現場が、七年前の報道被害へつながる。
BOOK INFORMATION
作品情報
- 発売状態
- Kindle発売中
- 形式
- Kindle版(電子書籍)
- シリーズ
- 東海道新幹線ミステリ 第10巻シリーズ掲載作品一覧
- ASIN
B0GX36W7SG
KEY THEMES
主要テーマ
- 01東海道新幹線
- 02匿名投稿
- 03報道と冤罪
FOR READERS
この作品がおすすめの読者
- 東海道新幹線を舞台にした鉄道ミステリーが好きな方
- 匿名投稿、報道被害、情報の拡散を扱う社会派サスペンスを読みたい方
OPENING SAMPLE
冒頭試し読み
本書冒頭より(一部抜粋)
東京駅十九番線の朝は、いつも水槽の底に似ていた。
天井の鉄骨は暗い水面のように遠く、発車標の光は硝子越しの魚影みたいに揺れている。白い新幹線が滑り込むたび、ホームにいた人々は、波に運ばれる小石のように少しずつ位置を変えた。スーツの袖、紙コップの湯気、キャリーケースの車輪音、発車ベルの短い旋律。すべてが整然としていて、だからこそ、そこに紛れ込んだひとつの悪意もまた、整然として見えるはずだった。
瀬尾透は、その朝、東京駅にいた。
警視庁捜査一課の刑事が、非番明けに駅弁売場の前で缶コーヒーを飲んでいる姿は、本人の自覚以上に場違いだった。背の高い痩せた男で、黒いコートの襟がいつも少しだけ曲がっている。髪は短く刈っているのに、徹夜のあとだけ前髪が乱れた。目つきは鋭いというより、何かを見逃した過去をまだ探しているように暗かった。
ホームに立つ人々は、まだ何も知らなかった。
ある者は弁当を選び、ある者は画面を覗き込み、ある者は子どもの手を引きながら「富士山、見えるといいね」と言っていた。死はまだ、その人々の胸ポケットの中に入っていなかった。まだ通知音の形をしていなかった。まだ、誰かの正義の餌にも、怒りの焚きつけにもなっていなかった。
瀬尾の携帯が震えた。
表示された名前を見て、彼は眉をわずかに寄せた。久我真帆。相棒になって二年の若い刑事で、情報犯罪対策部から捜査一課へ移ってきた変わり種だった。
THEME SONG
主題歌ミュージックビデオ
物語の余韻を、映像と音楽でお楽しみください。
ABOUT THIS BOOK
この作品について
事件の時刻と情報の時刻が食い違う、情報時代の冤罪と断罪を描く。